「理由、教えろよ」
心臓が早鐘を打つように高鳴って、息をするのも苦しかった。
フッ、と口角を上げた陸斗くんの目は、笑っているのに少しも笑ってなんかいない。
両思いで大団円? 朝陽が私をどう思っているかなんて、わからないでしょう?
普段は人に無関心で、誰とも関わろうとしないのに。
どうして今、私と朝陽のことを教えろなんて言うのか……彼の考えていることが、わからない。
ただの、気まぐれ? 暇潰し?
ぐるぐると頭の中で色んな言葉が飛び交って、胸の前で握り締めた手が震えた。
「わ、私と、朝陽は……」
咄嗟に吐き出した声も、震えていた。
私は今、彼に何を言おうとしているんだろう。
ただ、同じクラスで席が隣というだけで、今日まで、ほとんど話したこともない相手だ。
これから仲良くする予定もないし、陸斗くんだってもちろんその気はないだろう。
そんな相手に、一体何を言おうとしてるの?
私は一体、何がしたいの?