「旗から見たら気持ち悪くても、私たちには、"丁度いい"距離なの」
床に座り込む彼の横を通り過ぎ、カーテンの前で足を止めた。
陽の光を浴びて暖かくなった、アイボリーのカーテン。
太陽の光と香りを閉じ込めたこの温もりは──なんだか少し、朝陽と似ている。
「私達のこと、よく知りもしない人に否定される覚えもないよ」
それは以前言われた、陸斗くんの言葉に対しての返事だった。
『……アンタと隣の男。ガキと保護者みたいで、気持ち悪い』
カーテンを背に振り返った私は、私を真っ直ぐに見つめている陸斗くんの綺麗なブラウンの瞳を見つめ返す。
陽の光に透ける、栗色の髪。鷹のように鋭い目。
改めて見ると、どこか甘さのある朝陽の容姿とは……似ても似つかない。