「……それって前に言ってた、アンタがよく知る男が俺と同じ苗字だから?」

「へ……?」

「で、その男って、この間ここで会った、あの彼氏っぽい奴のこと?」


彼氏っぽい奴。

陸斗くんの言うそれが、朝陽を指していると気が付かないほどバカでもなかった。

フッと口角を上げて笑った彼は、私と朝陽の関係を気持ち悪いと言い放った時と同じ表情をしている。

思わず頬が熱を持つのがわかって、私は慌てて彼から目を逸らした。


「か……彼氏じゃ、ないから」

「は?」

「朝陽と私は、彼氏彼女とかじゃない。ただの幼馴染。それ以上でもそれ以下でもないよ」


そこまで言うと、私は深く息を吐いてから、ゆっくりと足を前に動かした。

突然歩き出した私を、陸斗くんは訝しげに眉根を寄せて眺めている。