「アンタって、時々そうやって、人のことジーッと見るよな」

「え……っ!?」

「なんか観察されてるみたいで、気持ち悪いんだけど」


『気持ち悪い』

真顔で放たれた言葉に、心臓がドクリと不穏に高鳴った。

考えてみたら陸斗くんと話すのは、数日前、ここで彼と話しをして以来なのだ。

数日前──朝陽との関係を、『気持ち悪い』。ガキと保護者みたいだと笑われて、落ち込んだ以来だった。


「……観察してるつもりは、なかったんだけど」

「ん?」

「でも……気になって時々見てたのは、ホント」


スカートの裾をキュッと握って、私は俯きそうになっていた顔を上げた。

陸斗くんの言うとおりだ。

"山田"という朝陽と同じ苗字であること。

そして、朝陽と同じように洗練された容姿をしている彼を、朝陽を見ているような気になって、つい目で追っていた。