温度のない瞳。
私には絶対に向けられることのない、朝陽の目だ。
「は?」
「お前が、なんの選択授業してるのか知らないけど。お前がサボった分、他の奴がお前の分までやらなきゃならないことが増えるんだよ」
「…………」
「人のこと使えねぇとか、冗談でも言える立場じゃないって、わからない年でもないよな?」
吐き出されたのは棘のある言葉だった。
多分朝陽は、以前、私が話した陸斗くんの話の中の彼の言葉を、揶揄して言ったんだと思う。
『っていうか、ズルはやめましょうとか小学生で習うことだろ?』
陸斗くんが、あの時言った言葉の通り。
授業をサボっているということは間違いなくズルをしているということで、あの言葉はそのまま、陸斗くんに返ってくることになる。