「……うるさくて、目が覚めた」
「……陸斗?」
陸斗くんと、朝陽の声が重なる。
ハッとしてから朝陽を見ると、朝陽の目は真っ直ぐに陸斗くんへと向けられていた。
朝陽は陸斗くんを知っている。
私から席替えの時のことを聞かされた朝陽はきっと、今、目の前にいる彼が"あの陸斗くん"だと気が付いたのだ。
「っていうか、なんで、アンタがここにいるわけ?」
けれど、陸斗くんは自分を見る朝陽の視線など気にも止める様子はなく、マイペースに私へと言葉を投げた。
「まさか、先生に言われて俺を連れ戻しにきたとか?」
「え……あ、そうじゃなくて。私、課外活動で校内清掃を選択してて、それで、第三音楽室の清掃を頼まれたから、今から掃除するところなんだけど……」
「ふぅん」
事実をありのままに伝えてみたものの、私の方こそ逆に、どうして陸斗くんがここにいるのか聞きたいくらいだった。