「え?」


示された先。

見れば、そこには見慣れた制服姿の男の子がいて──というより寝転んでいて、思わず目を見張る。

真っ黒なグランドピアノの、長椅子の上。

そこにもう一つ椅子を繋げ、上半身を乗せて寝転ぶ男の子は片腕で顔を隠して何やら寝ているようだった。


「……どうする?」


困ったように眉を下げて、リュージくんが私と朝陽に尋ねた。

今は、授業中だ。

それなのに、使われていない音楽室にいるということは、間違いなく今、ピアノ椅子の上で寝ている彼は授業をサボっているに違いない。