* * *


「それは、すごいな。相当インパクトある」


遠くから聞こえる、野球部の掛け声。

吹奏楽部の練習の音と、線路を走る電車の音。

放課後、第三音楽室にやってきた朝陽は眉間にシワを寄せていた私を見て、すぐに何かあったのだと気付いたらしい。

だから私は、今日の席替えで起きた一連のできことを包み隠さず、朝陽に話した。

すると朝陽は何故か、他人事のように笑いだして、ご機嫌になった。

私は今後について真剣に悩んでいるのに笑われて、腹が立ったので不貞腐れて、カーテンの中に潜り込んだ。


「……笑い事じゃないよ。私はこれから次の席替えまで何ヶ月も、毒舌陸斗くんの隣にいなきゃいけないんだから」


今日は結局一日中、隣の席の陸斗くんが気になって、まるで授業に集中できなかった。

何かあるとまた、陸斗くんの毒舌が炸裂するんじゃないか……なんて、ドキドキしていたのだ。