その、何を考えているのかわからない……温度のない目に心臓が大袈裟に高鳴って、息の仕方を忘れてしまう。
「なんなの……っ」
直後、そばに立っていた彼女がパタパタと足音を響かせ去っていき、なんとも言えない空気が私たちの間に漂った。
「……チッ」
陸斗くんが苛立ったように舌を打つ。
やっぱり……難しい人だ。
というか、冷たい人。
わざわざ、あんな言い方しなくてもいいのに。
少なくとも自分の隣の席に来たいというだけで、彼女が多少なりとも自分に好意を寄せていることも気付きそうなものなのに……。
ううん。私でさえ気が付いたんだから、陸斗くんだって気付いたはずだ。
きっと、絶対。彼女の気持ちに、気が付いていた。