「……また、神様みたいだとかバカなこと、言うんだろうな」

『おーい、りっくん、なんか声が遠くて聞こえねぇよー』

「それでも俺は、そんな菜乃花を──」

『え?』


言い掛けて、言葉を止めた。

あの日も今も、伝えられなかった言葉がある。

だけど今、俺は自分の歩く道に後悔をしていない。

そう思えるのはきっと、今でもアイツが心の中にいるからだろう。

精一杯、日々を懸命に生きるアイツの姿が、今も心の中にあるからだ。