『なぁ、りっくん! 行こうぜ、結婚式!』
「だから、無理なものは無理なんだよ。だって、その日は──兄貴の結婚式だから」
『え!? マジで!? 兄ちゃん、結婚したの!?』
「ああ。だから、そっちには行けない」
きっともし、今ここにアイツがいたら、今の俺の言葉を聞いて驚くだろう。
そして数秒の間を開けたあと、アイツは花が開くように笑うんだ。
「よかったね」と、涙で目を赤くして、笑ってくれる。
ああ、今度こそ。
彼女は俺のために、泣いたかもしれない。
『マジかよー、それじゃあ仕方ないなぁ。家族だもんな』
とうとう諦めたように息を吐いたリュウを前に、小さく笑った。
──仕方ない。
本当に、俺はバカだ。