「……なんだよ」
風に飛ばされた真っ白な封筒を拾い上げ、小さく息を吐いた俺はピアノ椅子へと腰を下ろした。
直後、ポケットの中に入れていた携帯電話がしつこく震え始める。
仕方なく取り出して画面を見れば、久しぶりとも言えない男の名前が表示されていて溜め息が零れた。
……タイミングの良いやつだ。
心の中で舌を打ってから、電話をとることを躊躇する。
だけど、どうせ今とらなくても、また夜にしつこくかかってくるんだろう。
何を言われるかもしっかり、予想が付いている。
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