「俺がそばにいても、これからの菜乃花のためにならないとわかっていたけど、それでもどうしても、菜乃花のそばにいたかった」
朝陽もきっと、私と同じように迷ってた。
幼い頃からそばにいることが当たり前で、行き場をなくした私たちの関係を……。
「菜乃花に想いを伝えたら、余計に菜乃花を俺に縛り付けることになる。今の俺じゃあ、菜乃花のためには何もしてやれないって、ずっとそう思ってたけど……」
「朝陽……っ」
「そんなのもう、考えるだけ無駄だった。離れていても、結局菜乃花のことが頭から離れなかった。菜乃花が隣で笑っていてくれるなら、俺はきっと、どんなことも乗り越えられる。俺といることで菜乃花の視野が狭くなるなら、どうするか一緒に考えて、広げていけばいい」
いつも、いつも。朝陽は私のことばっかりだ。
バカな朝陽。私のことよりももっと、自分のことを考えてよ。