「わ、私のほうが好きだよ……っ」

「……うん」

「私だってずっと、朝陽のことが大好きだった……っ!」


叫ぶように想いを口にすると、再び涙が溢れだす。

好き、大好き。

だけどもう、その言葉じゃ足りないんだ。

どれだけ好きだと叫んでも、胸に溢れる想いのすべてはきっときみに、伝えきれない。


「菜乃花がここに、アイツといるのを見たとき……ショックで一瞬、目の前が真っ暗になった」


それは私が朝陽に『もう菜乃花に俺は必要ない』と言われたときのことを言っているのだろう。

あのときは私も朝陽と同様、ショックで目の前が真っ暗になった。


「それまでもずっと、俺は自分が菜乃花のそばにいることで、菜乃花の視野を狭めているんじゃないかって……ずっと、思ってたんだ。俺が菜乃花を縛り付けてるんじゃないかって、そう思ってて……」


「だから高校を決めるときも、これでいいのかずっと不安だった」そう続けた朝陽は、私の身体を強く抱き締める。

朝陽がこの高校を受けると決めたとき、彼は私に私の進路について一度も助言をしなかった。

結局私は朝陽を追い掛けるように、朝陽の志望校と同じ高校の商業科を受験したけれど……。

あのときの選択を、今の私は少しも後悔していない。

だっていつでも遠い朝陽を追いかけていたからこそ、私は今日まで、必死に走り続けることができたんだ。