「ねぇ、お願い……変わってくれるよね?」
可愛らしく首を傾げ、顔の前で両手を合わせた彼女。
その時、彼女が持っている、くじの番号がチラリと見えた。
……まさかの、一番前。教卓の、目の前の席だ。
所謂、誰もが座りたくないハズレ席。
……どうしよう。
せめて、もう少しマシな席と変わるならまだしも、これはさすがに私も迷ってしまう。
「月嶋さん?」
「あの、私は──」
けれど再び少し考えて、彼女には申し訳ないと思いつつも、丁重にお断りしようと静かに口を開いたとき──。
「──そうやって、ズルしようとするから、神様にハズレくじ引かされたんじゃねぇ?」
「え?」
唐突に投げられた声が、私の言葉を遮った。