「山田(やまだ)先生、さようなら!」 「おー、また明日」 それぞれの行方を見送りながらひとり教室を出た俺は、一通の手紙を手に、"ある場所"へと向かった。 傷がついている床。 立て付けの悪い扉。 鼻先を掠める、ホコリの匂い。 目の前には今はもう、使われていない"第三棟"の入口がある。 先日の職員会議で、来年には新校舎建設のために取り壊されることが決まったと報告を受けたばかりだ。