「アンタって、ほんと、どうしようもないほどバカだよな」


弾かれたように顔を上げれば、言葉と同様、どこか呆れたような表情をした陸斗くんと目が合う。


「俺、前に言ったよな? なんで、好きな奴に好きって伝えることがダメなんだ……って」


それは以前、陸斗くんから言われた言葉だ。

障がいを抱える私は、これ以上の何かを望んではいけないのだと……吐き出して、俯いた私に、陸斗くんがくれた言葉。


「結局、アンタが一番、自分を差別してるんだ。周りと比較して、菜乃花は自分で自分を貶めてる」

「……っ」

「アイツがさっきプレゼンで言ったみたいに、本当の意味で障がいのことを知ろうとしない奴らと同じだって言ってんだよ。"私なんか"って、常に心の中で思ってる。それじゃあこの先、もしも周りが変わっても……アンタ自身は、少しも前に進めないだろ」


力強いその言葉は真っ直ぐに、私の心に突き刺さった。

私なんか……って、思えばその卑屈な想いは常に、私の真ん中に、深い根を張っていた。

私が、これ以上の何かを望んではいけない。

私が、誰かを好きになること自体、間違っている。

こんな私なんかのことを──誰かが好きになってくれる、はずがない。