「彼らのことを、少しでも多く知ってください。知った上で、少しずつでいいから彼らの声に耳を傾け、どうすることが彼らにとって最適な選択なのかを一緒に考えてあげてください」

「……っ」


涙が一筋、頬を伝って静かに零れ落ちた。

辛いことも、悲しいことも。今までたくさんあったけど朝陽のように、手を差し伸べてくれた人もたくさんいた。

そんな人たちに出会うたび、私は私で良いのだと自分を肯定してあげることができたのだ。

今、この会場にいるどれだけの人に、朝陽の声が本当の意味で届いたかはわからない。

それでも、たったひとりでもいい。

ひとりでもいいから、私たちのことを知ってほしい。

『できない』のは決して、故意ではないということ。

『みんなと違う』のは、認められるべき個性だということ。

『普通』なんて、この世の中にはどこにも存在しないということを……。