「その中で僕が見てきたその子──彼女は。いつも見えない何かと戦い、傷付き、時にはうちのめされて苦しんでいました」
朝陽がこれまで見てきた私のことを、こんなふうに言葉にして聞くのは初めてだった。
「発達障害を抱える人たちがぶつかる壁の一つに、二次障害というものがあります。自分が発達障害であることに気づかなかったり、気づいていてもサポートを受けられなかったり……。周りの人たちに理解されずに非難されて苦しんだり、失敗ばかりを重ねることで本人の自尊心ややる気が失われ、新たな障害が生じることもあるということです」
その言葉に、今日までの自分の姿が鮮明に脳裏を過ぎった。
頑張っても頑張っても、みんなと同じようにはできない。
私は自分なりにやっているつもりでも、周りのみんなには認めてもらえない。
やる気がない、集中力がない、お前は人をバカにしている……これまでぶつけられてきた心無い言葉は今でも、私の心に大きな傷を残したままだ。
「彼女たちはいつも、自分なりに必死でやっているんです。周りと同じことを必死にやろうとするのに、どうしても、できない。それでも必死に周りと同じになろうと努力する。何度周りの目や声に傷付けられても、それでも必死に……"普通"であれるようにと、立ち上がるんです」
自分が抱える問題を言い訳にしても、結局何も変わらなかった。
だから必死に、周りについていこうと頑張るしか選択肢がなかったのだ。