「みなさんに、これらの発達障害に関する基本的なことを理解していただいた上で、今から述べる僕たちなりの見解を聞いていただきたいです」
その言葉を合図に、私は背後の扉へと手を掛けた。
一刻も早く、この場所から立ち去りたかった。
ここから消えてしまいたかった。
──こんなの、酷い。
そんなふうに思うのは、どうしてだろう。
それでも今、私の頭と心の中は、その言葉と真っ黒な想いで塗り潰されている。
朝陽のことを、私は今日まで、他の誰よりも信じていた。
私や私の家族が今日まで悩み苦しんでいたことも、朝陽は誰よりも近くで見てきたから知っていただろう。
それなのに……どうして?
私と離れて、私の知らないところで、私以外の人と一緒に、このテーマについて議論していたの?
まさか私がこのプレゼンテーションを見に来るとは、朝陽は夢にも思わなかったのかもしれない。
別に、障がいをテーマにしてはいけないという決まりもないだろう。
だけど、たとえそうだとしても、頭が理解することを拒絶していた。