「……発達障害の一つであるADHD。所謂、注意欠陥・多動性障害には、大きく分けて三つの特徴が見られます。それは、不注意、多動性、衝動性というもので、一つ一つの特徴をわかりやすく分類したものが、こちらの表になります」


朝陽が今、口にしていることは全て、数年前、私が病院の先生から説明された内容と同じだった。

あのときも先生は今の朝陽のように、わかりやすく明確に、私が受け止められるよう一つ一つのことを丁寧に教えてくれた。


「子どもの二十人に一人、成人の四十人に一人にADHDが生じることが示されているという調査結果も見つかりました」


だけど、どうして今、朝陽がそんなことをテーマにするの?

もちろん、朝陽がグループリーダーというだけで、朝陽以外のメンバーの子たちがテーマを選んだ可能性だってある。

でも、たとえそうだとしても少なからず、朝陽もテーマに賛同したからリーダーを引き受けたのだろう。


「──っ!」


ふと、プロジェクターを動かす一人に目をやると、それがあの日──朝陽と笑い合いながら、手を繋いで歩いていた女の子だということに気が付いた。

二人は何か目配せをし合うと、ピタリと息を合わせながら次々にテーマに添った資料を並べていく。

一重に発達障害と言えども、私が抱えるADHD以外にも自閉症、アスペルガー症候群、学習障害など色々な種類、症状があるのだ。

私と幼い頃から一緒にいた朝陽なら……それについて詳しくても不思議じゃない。