──頑張って。
心の中で何度も何度も、その言葉を唱え続けた。
──頑張れ、朝陽。
今の私には、それ以外にできることは何もないのだ。
朝陽なら、いつも通りにやれば大丈夫。
絶対に成功するから大丈夫……!
いつの間にか胸の前で握り締めていた手には汗が滲み、緊張で胸がドクドクと高鳴っていた。
そうしている内に全ての準備を終えたらしい朝陽が、壇上に備え付けられたマイクの前に立つ。
「──第六班、グループリーダーを務めさせていただきました、山田 朝陽です」
けれど、聞き慣れたその声が続けて紡いだ言葉に──。
「僕たちは、"発達障害と生きる"をテーマに、僕たちなりの見解をまとめさせていただきました」
私は今の今まで握り締めていた手を、そっと、解いた。
……え?
解いたのではなく、力が抜けて解けたのだ。
──発達障害と生きる?
今、私の聞き間違えでなければ確かに朝陽はそう言った。
朝陽の言葉を合図に講堂内が暗転し、映し出されたプロジェクターの画面にはいくつもの図が浮かんで、説明とともに消えていく。
それに対して淡々と言葉を載せる朝陽の声には迷いがなくて、余計に私の頭の中を混乱させた。