「……っ!」


不意に、視線と視線が交差した。

──朝陽?

けれど、すぐに目は逸らされてしまい、再び進行役の先生の声が講堂内に響き渡る。

……今、確かに一瞬、目が合った。

偶然に違いないけれど、確実に……朝陽の目と、目が合ったのだ。


「……っ」


ああ、バカだな、私。

たったそれだけのことなのに、嬉しくて、切なくて、たまらない。

朝陽に素通りされたあの日から、もう二度と、目が合うことも話すこともないのだと思っていた。

声をかけることもきっと、この先も、許されない。

だけど今、例え偶然だとしても一瞬、確かに目が合った。

……もう、それだけで十分だ。

それだけで、今日の約束を忘れずに、ここまでこれた私に神様がご褒美をくれたのだとさえ思った。


「それでは第六班、プレゼンテーションを始めてください」

「……はい」


進行役の先生の掛け声とともに、リーダーである朝陽が静かに立ち上がる。

併せてグループメンバーたちも何かを用意するために動き、それぞれが自分たちの果たすべき仕事の持ち場についた。