朝陽と同じ苗字。一際目を惹く容姿をしているのに、やけに地味な苗字を持つ二人。
別に、陸斗くんと朝陽が遠い親戚だとか、そんなことではないけれど、『朝陽と同じ』だというだけで私の興味を引くには十分だった。
「苗字が山田の奴なんて、そこらじゅうにいるだろ」
「あ……うん。そうだよね、ごめんね」
ぶっきらぼうに正論を唱えられ、咄嗟に謝ってしまった。
そして陸斗くんは私との会話に興味を失ったように、再び視線を前へと向けて黙り込む。
陸斗くんと話したのは今のが初めてだけれど……なんとなく難しい、というのが正直な感想だ。
一匹狼の名に相応しく、席は五十センチほどしか離れていないのに、彼との間に分厚い壁を感じてしまった。
でも……まぁ、仕方がない。
かくいう私も、人付き合いは苦手なのだ。
人との距離を図るのは私にはとても難しいことだし、朝陽やリュージくん以外の気の置けない人と一緒にいることは、苦痛だった。