「よし……」
一度だけ小さく息を吐くと真っ直ぐに前を向く。
再び足を前へと踏み出したときには、上田先生に言われた言葉もスッカリと忘れてしまっていた。
* * *
「──以上で、企業宣伝効果の検証というテーマに取り組ませていただきました、第五班のプレゼンテーションを終わります」
マイク越しに凛と通る声を響かせたリュージくんの言葉で、彼の率いるグループの発表は締め括られた。
直後、プレゼンを見に来ていた人たちの中から一斉に拍手が沸き起こる。
リュージくんのグループ以前に発表を終えたグループよりも多く響く賞賛の音に、なんだか私まで嬉しくなった。
さすが、リュージくんだなぁ……。
最初に企業宣伝効果の検証と聞いたときには、難しくて眠くなってしまいそうだと心配になったけれど、実際にプレゼンテーションが始まると、眠くなる時間も貰えないくらいに興味深い時間になった。
その一番の要因は、言葉よりも絵やプレートで説明されることが多かったからなのだと思う。