残された私は一人、たった今先生と交わした短い会話を思い出して……。
先生は今、私に何を言いかけたんだろう。
私の聞き間違えでなければ上田先生は、『テーマが月嶋さんの……』と、何故か私の名前を口にした。
テーマって、前にリュージくんが言っていた、グループワークのテーマのこと?
だとすれば、テーマが私の……って、どういうことだろう。
まさか私がテーマになるようなことなんかないし、考えても疑問が募る一方だ。
「あ……」
ぼんやりと立ち竦んでいた私は、不意に響いたチャイムの音に我に返った。
ふと近くの教室の中にある時計を見ると、時刻は十三時五十五分を指している。
プレゼンテーション前に朝陽と鉢合わせないように、ギリギリに行こうと思っていたらこの時間だ。
早くしないと、せっかく誘ってもらったプレゼンテーションに間に合わない。
朝陽とリュージくんの努力の結晶だけは、どうしても見届けたい。