この一週間、私は私なりに、どうして陸斗くんがここまで私に寄り添ってくれるのか考えてみた。

多分彼は、自分のお兄さんと私を重ねて見ているのだと思う。

優しい陸斗くんは、きっと、私が一人になったら自分のお兄さんのように壊れてしまうんじゃないかと心配してくれているんだ。


「それに、前に言った通り、あの場所は俺にとっても、もう特別な場所だしな」


だけど、そうは思っても、それだけではないような気もしていた。

たった今、陸斗くんが口にした"特別"という言葉……。

私の自惚れかもしれないけれど、陸斗くんはこれまで通り、学校内で私以外の女の子とはほとんど会話をしていない。

もちろん、私が見ていない場所では話している可能性もあるけれど……。

少なくとも私が見ている限りでは、教室内で、私以外の女の子が彼に話し掛けても、必要以上の返答はしなかった。

一昨日、勇気ある日比野さんは、そんな陸斗くんに対して『月嶋さんだけ特別扱いしている』と彼に面と向かって言い放った。

対して陸斗くんは、『だから何？』と返すだけで明確な否定はしなかったのだ。