「わ、私のほうこそ……せっかくリュージくんは私達のことを思って言ってくれたのに、上手に応えられなくて、ごめんね」

「ううん、なのちゃんは悪くない。俺が自分の感情のままに詰め寄ったのが悪いんだから。ほんと、りっくんの言う通りで……なのちゃんには、嫌な思いをさせたよな」


優しい彼の言葉に、私は慌てて首を左右に振った。

嫌な思いなんて、していない。

リュージくんが誰よりも朝陽と私を心配してくれているのだ。

昨日、リュージくんが言った通り。

リュージくんは誰よりも近くで、朝陽と私のことを見ていてくれた。

きっとリュージくんは、私が朝陽に一方的な恋心を抱いていたことにも気付いていただろう。

それほど近くで、彼は中学、高校と……私達のことを見守ってくれていた。


「私は……ずっと、二人に感謝してたよ」


ぽつりと零すと、リュージくんが唇を、きゅ、と引き結ぶ。


「朝陽だけじゃない。リュージくんがいてくれたから……私は今、こうしてここに立っていられるの。だから二人には、どれだけ感謝を伝えても足りないんだよ」


真っ直ぐに、それだけは伝えたかった。

昨日の朝、そして先程も、弱い私は彼から逃げ出そうとしてしまったけれど……。