もちろん、それもその先生なりの私への気遣いだということはわかっているけれど、本音では少し、寂しさも感じていた。
だからこそ上田先生のように、本当の意味で理解を示し、手を差し伸べてくれる人は私にとってはかけがえのない存在なのだ。
「ようやくゴールが見えてきたよー」
長い廊下の先に、図書室と書かれたプレートが見えた。
両手で持った段ボールを抱え直すと、私は先生のあとを追いかける。
図書室に入り、カウンターに新書を置くと、図書委員の生徒に「ありがとう」とお礼を言われて心が少し温かくなった。
「月嶋さん、ありがとう、助かっちゃった。次も何かあれば、またお願いね」
上田先生が可愛らしくウインクをしてくれる。
いつか私も、こんな人になりたい……なんて。そんなことを思うのは、私には贅沢な願いだろう。
「それじゃあ、先生、職員室に戻るね」
そう言って図書室を出ていく先生の背中を笑顔で見送った。
久しぶりに来る図書室は相変わらず静かで、独特の雰囲気に包まれている。
いつも放課後は、第三音楽室にいたから……なんだか少し、不思議な感じだ。