「ね、ねっ? いい感じでしょ!?」
「すごい……」
いつもより艶のある肌。くるんと持ち上げられた睫毛と、淡いブラウンのラインが引かれた自分の目元。
ほんのりとピンク色に染まる頬と唇。丁寧に巻かれた髪。
何もかもがつい先程までの自分と違って見えて、単純だとわかっていても心が勝手に躍ってしまった。
「月嶋さんって、童顔だからさぁ。そこまで大人っぽく〜とはならなかったけど、でも、女の子らしさアップで、いつもと違うのは明らかでしょ」
「う、うん! なんだか自分じゃないみたい……」
まさかメイクで、ここまで変われるなんて思ってもみなかった。
可愛い……なんて、自分で言うのはバカみたいだけれど、もしかしたら少しでも、朝陽の理想の女の子に近づけたんじゃないかと自惚れてしまう。
「ほらっ。これでさ、今日は好きな人に会ってきなよ!」
「え……?」
「だーって、せっかくこんなに可愛いんだよ? 好きな人に見せなきゃ損でしょ!」
けれど喜びも束の間、私よりもよっぽど可愛らしくウインクをした日比野さんを前に、思わず声を忘れて固まってしまった。