「朝陽に聞いても、当たり前に何も言わないし……。でも、今までのアイツと決定的に何かが違う。教室でも一切笑わなくなったし、まるで感情を失くしたみたいで見ていられない……っ」


目の前に立ち、苦々しそうに声を吐き出すリュージくんの足元を、ただジッと見つめることしかできなかった。

今、どれだけリュージくんから朝陽の話を聞かされようとも、私にできることは一つもないのだ。

──だって、朝陽と私は本当にただの幼馴染だから。

幼馴染なんて聞こえが良いだけで、結局は赤の他人だ。

もちろん長年に渡って付き合いのある人たちもいるだろうけれど、ほとんどが大人になるまでの過程で別々の道を歩んでいく。

気が付けばもう連絡することも顔を合わせることもなくなって、親からの話でしか近況を聞かない、そんな関係がほとんどだろう。

私たちもそれと同じように、やっと幼馴染らしくなれたということだ。