「なのちゃん……っ!」


私達の変化にいち早く気がついたのは、リュージくんだった。

朝、昇降口で上履きに履き換えていたら突然肩を強く掴まれた。

振り向くと、怒りとも絶望とも取れる色に表情を染めたリュージくんが立っている。


「なぁ、朝陽と一体、何があったんだ?」


目には困惑が滲んでいて、思わず言葉に詰まってしまった。

──朝陽に、"もう菜乃花に俺は必要ない"と言われてから、早一週間が経とうとしている。

あれから朝陽とは、ただの一度も顔を合わせていない。

家も隣同士で、学校も一緒だというのに、姿すら見かけることもないのだ。

だけど私は、朝陽と過ごしていたときと少しも行動時間を変えていない。

つまり、朝陽が私を避けているのだろう。

それともこれが本来の、朝陽の行動時間なのかもしれない。

そう考えたとき、私は今までどれだけ自分が、朝陽に甘えていたのか思い知ったのだ。