「アンタの持論でいくと、誰でも誰かの神様になり得るってことだな」
穏やかに笑う陸斗くんの言葉に、胸の奥が締め付けられた。
──ねぇ、不平等な神様。
やっぱり、神様も私達と同じだね。
不平等であるところが神様の欠けている部分なら、きっと神様も完璧ではない。
万能であるはずの神様ですら完璧にはなれないんだから、ただの人間である私達も完璧にはなれないんだ。
「……俺、さぁ」
「え?」
「いつも必死なアンタを見てて、気が付いたんだ」
再び雲間から顔を出した太陽が、私達を強く照らした。
遠くで聞こえる野球部の声も、吹奏楽部の楽器の音も……今はどこか、別の世界で響いているようだ。
「もしかしたら兄貴も……ずっと一人で、悩んでたんじゃないか、って。ああなる前に俺や家族が気付けなかっただけで……兄貴もアンタみたいに、ずっと誰かに認めてもらいたくて、必死だったんじゃないかな」
ただ、誰かに認めてもらいたくて。
ただ、必死に生きていただけだった。