「陸斗くんといると、本当に、色んな発見がある。発見というより、改めて気付かされるっていうか……。なんだか私の、世界が変わるの」


大袈裟な言い方かもしれない。

またバカなことを言っていると、呆れられてしまうかもしれない。

だけど本当に、そう思うんだ。


「……それは、俺も同じだけど」

「え?」

「俺もアンタと出逢って──アンタを知って、気付いたことが色々あった」


思いもよらない言葉に顔を上げると、困ったように眉を下げた陸斗くんと目が合う。

どこか弱々しいその表情を見るのは初めてで、胸の奥がざわめいて、落ち着かない。


「アンタと前に、ここで話したとき。アンタに俺が、"世の中に、普通の奴なんかいない"って言ったの、覚えてるか?」

「あ……」


『世の中に、普通の奴なんかいない。誰だって、何かが欠けてる。ただ、その欠けてる場所が違うだけ。完璧な奴なんて、どこにも存在しない』

それは以前、陸斗くんが言った言葉だ。

今以上の何かを望んではいけないと、弱音を吐いた私に、陸斗くんがくれた言葉。