「あ、あの、日比野さん……!?」

「月嶋さん、やっぱり超可愛い! あー、もっと早く声掛けてみるんだったなぁ。月嶋さん、教室だといつも下向いて、全然うちらと目を合わせてくれなかったからさぁ。なんか、嫌われてるのかと思ってたんだよね」


拗ねたように息を吐いた彼女を前に、心が強く締め付けられた。

まさか日比野さんがそんなふうに思っていたなんて、知らなかった。

私のほうこそ、もっと早く、日比野さんと話したかった。

そうすれば今頃は、もっと仲良くなれていたかもしれない。

なんて勿体無いことをしたのだろう。

だけど今、そんなふうに思えることが、どうしようもなく嬉しかった。


「それで……その好きな奴って、山田でしょ!」

「え……っ!?」


再び言い当てられて、今度こそ目を丸くした。

同時に血液が沸騰したように身体が熱くなり、顔がみるみる赤くなっていくのがわかる。

どうして私が、朝陽を好きだということまでわかったんだろう。

もしかして、私達が朝、一緒に来ているところを見られてた?

朝陽は女の子たちに人気があるから、見られていたとしても可笑しくないけれど……。