「いやー……やっぱりね。超羨ましいんだけど」
「え……?」
「だって、その肌! もちもちスベスベ! 睫毛も長いし目は二重で黒目も大きいし。背も小さくて、セミロングのふわふわ髪も月嶋さんに似合ってるし、如何にも守ってあげたくなる女子なのよ!」
「え……えぇ……?」
捲し立てるように言った日比野さんの言葉に、顔が沸騰したみたいに熱くなった。
守ってあげたくなるような女の子?
そんなこと、今まで一度も言われたことはなかったから。
朝陽は時々、可愛いとか言って私のことをからかったけど。
そんなの、幼稚園の頃からの話しだし、私の反応が面白いから言うだけだ。
……そう。朝陽はいつだって、そうなんだ。
朝陽の一言一言に、どれだけ私が振り回されて……ドキドキしてるかなんて、知らないんだ。
「あ、あの……日比野さん」
「うん?」
「私も、メイクしたらその……日比野さんみたいに、綺麗になれるかな?」
真っ直ぐに顔を上げて、日比野さんに尋ねる。
「あの、その……。無理なら無理で、全然大丈夫なんだけど。でも、私もメイクをしたら少しは、大人っぽく見えるかなって思って……だから……」
我ながら、どこまでも往生際が悪いと思う。
あの日、朝陽と並んで歩いていた女の子は、とても綺麗な女の子だった。