「ホント、月嶋さんって自分の世界っていうか、マイペースに生きてるよねぇ」

「あ……、ご、ごめんね! 私……」

「ううん、別に責めてるわけじゃなくて。私は、月嶋さんみたいに自分なりの世界で生きてる人、好きだし。その人のこと、もっと知りたいなーとも思うから、今話せて嬉しいよ」


日比野さんが、無邪気に笑う。

嬉しくて、私は思わず唇を噛み締めた。

……誰かと一緒にいるということは、常に別れが隣り合わせになるということだ。

それでも今は、目の前にいる彼女を、みんなのことを、信じたい。

たとえこの先、傷ついて、その手を離すような日がくるとしても、こうしてみんなと過ごした日々は私にとって、掛けがえのないときになるはずだから……。

そう思えるのも陸斗くんが、『悪いことばっかり考えてる暇があったら、楽しいことでも考えてろ』と言ってくれたからだ。

陸斗くんの言葉はいつだって、私の心を前向きにする、不思議な力を持っている。


「っていうか、月嶋さんってバレーボール上手いねぇ。ちゃんと手元に返ってくる!」


花が開いたような笑顔を浮かべて、日比野さんが私を見つめた。

日比野さんは、とても気さくで明るい女の子だ。

話す前は、おしとやかで大人しいタイプの子かと思っていたけれど、まるで違った。