まさか朝陽が、私に嘘を吐いたとは思いたくない。

朝陽に限って、そんなことは絶対にないと信じているけれど……。

先ほど見た光景が、どうしても私の心を掻き乱すんだ。


「朝陽が、笑ってた……っ」


湧き上がる黒い感情に、押し潰されてしまいそうだった。

私には、こんなことを思う権利もないのに。

こんなこと言う資格もないのに、苦しくて、悔しくて、たまらない。


「朝陽……あさ、ひが……っ」


どうして。

どうして、手を繋いで歩いていたの?

今すぐ朝陽に駆け寄って、尋ねたい。

あの子との間に割って入って、朝陽の隣は私の居場所なのだと言ってやりたい……!


「う……っ、うう……」


だけど、そんなことは思ってもできないのだと、自分が一番よくわかっていた。

だって朝陽は、私のものではないのだから。

朝陽は朝陽で……。

彼が誰と手を繋いで歩こうと、それは朝陽の自由なのだ。