「赤の他人の視線なんか、気にする必要ないだろ」
「う、うん……。でも」
「菜乃花は菜乃花、俺は俺だし」
「……うん、だけど」
「っていうか、俺が繋ぎたいから繋いでるだけだし。俺が手を繋ぎたい相手は、菜乃花だけだから」
「……っ」
「だからもう、余計なこと考えるな」
こつん、と額の真ん中を指で小突かれて、反射的にキュッと両目を閉じてしまった。
恐る恐る瞼を上げると、優しく目を細めて笑う朝陽がいる。
……朝陽は、ズルい。
そんなことを言われたら、私がもう何も言えなくなることをわかっていて、言うんだから。
今の今まで、こちらを見ていた女の子たちにも朝陽の声が届いたのか、悔しそうに眉根を寄せて離れていくのが見て取れた。