ゆっくりと扉を開けば空気が動いて、視線の先のアイボリーのカーテンが静かに揺れる。
──第三音楽室。
誰もいないその場所は、やっぱりとても静かで……どこか別の世界に迷い込んだ、そんな空想を抱かせる。
「あった……」
目的であったクラス全員分のプリントは、すぐに見つけることができた。
古びたデスクの上。どうして気付かなかったのだと言いたくなるほど、わかりやすい場所に積まれている。
いつも失くしものをすると見つけられないことが多いから、心配していたのだけれど……。
今回は無事に見つけることができて、本当に良かった。
「ふぅ……」
思わず安堵の息を吐いた直後、ガラガラと鈍い音を立てて扉が開いた。
弾かれたように顔を上げると、陸斗くんが気怠げに扉の前に立っている。
「……やっぱり、ここかよ」
呆れたように息を吐いた彼は後ろ手で扉を閉めると、音楽室に入ってきた。
私はそれを確認してから、プリントを腕に抱えて引き寄せる。