「っていうか、山田って結構熱いのな! マジ、ビビったわー」
「ねー、山田くん、カッコ良かったー。もう、超スカッとしたもん!」
「……うるさ」
窓の外には眩しいくらいの青空が広がっている。
どこまでも、永遠に続く青い空。
窓の外で揺れる新緑と、明るく優しい笑い声。
……私、勇気を出してよかった。
そしてその勇気をくれた陸斗くんに、心の底から感謝した。
* * *
「……早く行かないと」
その日の放課後、私はホームルームが終わると同時に、第三音楽室へと向かって歩き出した。
教室を出る間際、日比野さんと石上くんの二人が「一緒に探そうか?」と声を掛けてくれたけど、私は笑顔でその申し出を断った。
……多分、ううん、絶対音楽室にあるはずだ。
これだけ思ってなかったら問題だけど、きっとあの場所に置いてあるはず。
通い慣れた廊下を歩いて、突き当りの教室の前で足を止めた。