……私は、日比野さんとも石上くんとも、仲が良いわけじゃない。

クラスの誰とも、特別何か、交流があるわけでもなかった。

だからこそ、どうして二人が私を助けるようなことをしてくれたのか、わからなくて……。

だって私は、たった今、みんなに迷惑を掛けたばかりなのに。

寧ろ私は……あの先生と同じように、みんなは私のことを、少なからず面倒くさいと思っていると認識していた。


「月嶋さん、大丈夫?」

「もう平気だから、席に戻りなよ」


日比野さんと石上くん。そして数名のクラスメイトが、私に優しく声をかけてくれる。

つい先ほど先生と一緒に笑っていたらしい子たちだけが、気まずそうに俯いていた。


「プリント、もし必要なら私達も一緒に探すよ」


本当に、どうして……?

優しい言葉に、思わず喉の奥が熱くなる。

小学生や中学生のとき……今のようにトラブルを起こすたび、私はみんなに嫌な顔をされ突き放された。

だからもう、あの頃と同じ目には遭いたくなかったんだ。

あんな目で見られるくらいなら、一人でいたほうがマシだった。

巻き込んで、嫌われて。迷惑をかけて敬遠されて、最後に突き放されるのが……怖いから。

人と関わって呆れられ、またひとりぼっちになるのは嫌だった。

だからもう、朝陽とリュージくん以外の人と、親しくなることもないと思っていたのに……。