……何?

音のした方へと目をやると、クラスでも比較的目立つタイプの男の子が、携帯電話のカメラを先生と陸斗くんに向けている。


「な、なんだぁ……?」


彼は携帯電話越しに先生と目が合うと、面白そうに小さく笑った。


「やべっ、バレた〜。サイレントにし忘れたわ」

「お、おいっ! お前、今、何を撮ったんだ!」


よく見ると、クラスの男の子と女の子の数人が手に携帯電話を持っていて、先生にバレないように隠れてカメラを向けている。


「おい! 今すぐ消しなさいっ!」


先生は慌てた様子で男の子に詰め寄ると、手から携帯電話を奪い取った。

自身の携帯電話を取り上げられた男の子は露骨に嫌な顔をして、払われた手を大袈裟に痛がっている。

私は突然のことに驚き固まって、ただ、先生と二人のやり取りを見つめることしかできなかった。


「おい、おいっ。これ、どうやって消すんだ! 今すぐ、この場で消しなさいっ」


つい先程まで顔を真っ赤にして怒っていたというのに、今、先生の顔色は真っ青だ。