「とりあえず、先生のお話はウザったいんで、授業始めるならさっさとやって終わらせてくれません?」
「や、山田ぁ! お前、教師に向かって、なんだ、その口の聞き方は!!」
「はぁ? アンタなんか教師じゃねぇだろ。失敗した生徒を叱責するだけならまだしも、クラス全員の前で笑いものにした。その上、生徒が謝ってんのに聞く耳も持たねぇじゃん。マジで普通じゃねぇよ。さっさと教師やめちまえ」
「な、なにを~!?」
陸斗くんの鋭い言葉に、先生が拳を強く握りながら喉を鳴らした。
そうして数秒の間を空けた後、弾かれたように彼のもとまで詰め寄っていく。
「り、陸斗くん……っ」
思わず声を上げたけれど、陸斗くんは真っ直ぐに先生を睨みつけたまま、少しも目を逸らさなかった。
それが余計に癪に障ったのだろう。
先生は怒りに震える拳を高く、陸斗くんに向かって振り上げた。
「山田ぁ、お前もいい加減にしろよ!!」
反対の手が、陸斗くんの胸倉を掴み上げる。
先生の思わぬ行為に、クラス全員が息を呑んだと思われた、瞬間──。
「……っ!」
ピロリン! という、軽快な機械音が教室内に響き渡り、その場にいた全員が、思わずピタリと動きを止めた。