「先生、私は──」
「月嶋。お前、自分のことを棚に上げて何を言ってんだ」
だけどこの先生には、きっと何を言っても届かないのだ。
怒りに震える先生は、私の言葉を切ってから息を吐くと、再び強く教卓を叩いた。
「今、ハッキリとわかった。お前はそんなんだから、いつになっても成長が見られないんだ! 頑張ってる? 笑わせるな! お前の言う通り、お前の頑張りなんか、頑張ってるうちに入らないんだよ!!」
容赦のない言葉と声が、また私の心に傷をつけた。
ああ、やっぱり……。何を言っても、無駄なのだ。
何を言っても、届かない。
私の声は、いつまでも届かないんだ。
「もういい、お前は今からプリントを探しにいけ! 見つけるまで戻ってくるな! これ以上、口答えをしたら、今後のお前の成績がどうなってもいいと、覚悟して──」
「ハッ……ウザすぎ」
「……っ」
その時。再び、教室に凛とした声が響いた。
「っていうか、バカかよ。コイツにつられて笑ったやつらも同じだ。バカと一緒になって、笑ってんじゃねぇよ、気持ち悪ぃ」
声の主である陸斗くんへと目を向けると、彼は鋭い目を真っ直ぐに、先生へと向けている。
突然のことに息を殺して押し黙るクラスメイトたちと……顔を真っ赤にして怒りに震える、先生。
私は声を失って、精悍な彼をただ、見つめていることしかできなかった。