「……アンタって、いつも、アイツを神様みたいに言うよな」
「……え?」
「アンタが言うアイツは、まるで神様みたいに完璧な人間だから」
唐突にそんなことを言った陸斗くんは、静かに椅子から立ち上がった。
そのまま真っ直ぐに窓際まで歩を進めると、アイボリーのカーテンを勢い良く引き開ける。
──眩しい。
空高く上がった太陽の陽が差して、陸斗くんの綺麗な栗色の髪をキラキラと照らした。
それがなんだか幻想的で……再び彼に、魅入ってしまう。
「俺、前に言ったよな? 世の中には完璧な人間なんていないって」
『誰だって、何かが欠けてる。ただ、その欠けてる場所が違うだけだ。完璧な奴なんて、どこにも存在しないんだから』
それは以前、陸斗くんに言われた言葉だ。
あのときは、彼のその言葉に心から救われた気持ちになったけれど……今はただ、返す言葉が見つからない。
「少なくとも俺には、アイツは息苦しそうに見えた」
「息苦しい……?」
「そう。一番言いたいことが、言えない。伝えたくても伝えられない。だから藻掻いて苦しんで……自分を必死に、押し殺しているように見えたけど」
自分を必死に押し殺している。
あの、朝陽が……?
私には陸斗くんが言っている言葉の真意がわからずに、ただ、愕然とするしかなかった。