眠りが浅い……。良く寝ているイメージだったから、寝るのが好きなのかと思ってた。
それに、癖ですぐ目が覚めるってどういうことだろう。
まぁでも、とにもかくにもまた一つ、陸斗くんに関することで新たな発見だ。
本当に少しずつだけど、彼に関する知識が増えていく。
それがなんだか嬉しくて、思わず私は小さく笑った。
「わかった、覚えとく」
私の反応は、彼には意外だったらしい。
陸斗くんは一瞬だけ驚いたように目を見開くと、すぐに優しく目を細めて静かに笑った。
「……ああ、よろしく」
穏やかで、優しい声だ。
私はまた嬉しくなって、軽やかにいつもの場所へと歩を進めた。
窓際の、一番前の席。
そこに腰を下ろすと、風に揺れるアイボリーのカーテンを静かに見つめる。
「っていうか、アンタが昼休みにここに来るの、珍しいな」
ピアノ椅子に座ったまま、陸斗くんが私に尋ねた。
私はゆっくりと視線を彼に戻してから、現実へと引き戻されて……。
ああ、そうだ。忘れてた。
ぱたりと机の上に項垂れると、今日一番の溜め息を吐いた。