「お、おはようございます……」
「……そこで何してんだよ」
思わず声が裏返ってしまった私に対し、「チッ」と舌を打った彼は身体を起こすと、クシャリと髪に指を通した。
結局怒られた……。
陸斗くんの額にはほんのりと汗が滲んでいて、よほど驚かせてしまったのかと反省する。
「アンタのせいで最悪な目覚めだ」
「ごめんね、起こすつもりはなかったんだけど……」
肩を落とせば、再度舌打ちを返された。
本当に、起こすつもりはなかったんだけど。ついつい、時間も忘れて魅入ってしまっていただけだ。
不審な気配を感じた陸斗くんは、そのせいで目が覚めたのだろう。
野生の勘ってやつ? それとも私の鼻息が荒かった? 別に興奮とかはしてなかったんだけどなぁ……。
「ほんとにごめんね。邪魔ならもう、私は出ていくから気にせず眠って──」
「……いや、いい。別に、アンタのせいじゃないから」
「え?」
「俺、眠りが浅いんだよ。不眠症とまではいかないけど、人の気配がすると、癖ですぐ目が覚める」
癖……?
そう言うと陸斗くんは眉根を寄せて、目頭を押さえた。