「……っ!」
それは偶然、美術室の中から出てきた朝陽の前で止まって凍りつく。
「あ……」
思わず声を零したのはリュージくんだ。
私は何故か金縛りにあったように身体が動かなり、喉が勝手にゴクリと鳴った。
「……なんだ、アンタもいたんだ」
真っ直ぐに視線を交わしている二人。
一瞬の沈黙の後、口を開いたのは陸斗くんだった。
その言葉を合図に朝陽の目から温度が消えて、再び以前のようなピリピリとした空気が二人の間に漂い始める。
「そっちこそ、またサボり?」
ふっと表情を緩めた朝陽は、陸斗くんを挑発しているようにも見えた。
……こんな朝陽は、初めてだ。
いつもは相手が誰であろうと可もなく不可もなく、波風立てずにあしらって終わりなのに……。
一体何が朝陽を、そうさせるのだろう。