「あ、りっくん!」


声を掛けたのはリュージくんだ。

呼ばれた陸斗くんは一瞬瞼を瞬かせてから、ゆっくりと手元へ落としていた視線を上げる。


「あー、リュウか」


どうやら今日も、課外活動の授業はサボっていたらしい。

確か、陸斗くんは浜辺清掃だから、この時間にここにいるのはルール違反だ。


「おー、久しぶり!」


パァッとわかりやすく笑顔の花を咲かせたリュージくんに対して、陸斗くんはほんの少し口角を上げて笑うだけ。

だけどそれが陸斗くんなりに喜んでいるのだということがわかるのは、私達の距離が以前よりも近くなったためだろう。

……最初は、笑ったりしない人なのかもなんて、思っていたけど。

陸斗くんの笑顔はここ最近、本当に時々だけど見られるようになった。

話していて今みたいに不意に笑ったり……。なんだかそれが嬉しくて、つられて私まで笑ってしまうんだ。